スノーピアサー
この土曜日、日曜日と日本列島は大雪でした。
そんな季節にぴったり?の映画『スノーピアサー』を観ました。
氷河期で雪と氷に覆われた近未来の世界、
昨日今日の天気のようにとてもとても寒い映画でした。
氷河期で生物が絶滅した地球の中で、生き残った人が列車の中で生きており、そこは超格差社会だった。。。。
こんな荒唐無稽で突っ込みどころ満載な設定なのですが、ポン・ジュノ監督のグイグイ強引な力技で観客を引っぱる演出で、ギリギリのところでリアリティを破綻させることなく、ラストまで突っ走ります。
ポン・ジュノ監督の映画は「グエムル-漢江の怪物-」と「母なる証明」を観たことありますが、マジメなのかギャグなのか、スピーディーなのかダラダラしてるのか、観客を混乱させる独特の緩急をつけた展開と、映画が終わっても映画の世界から意識を返してくれないほどの印象的なラストシーンに特徴があります。
今作では抑え気味ですが、凄惨な拷問や殺し合いの場面があったかと思えば、のんびり寿司なんか食ったり、前半と後半の雰囲気がガラッと変わるところなんか、ポン・ジュノ節健在といったところでしょうか。
さて、映画の内容ですが、この映画はひとことでいったら、
「格差」を描いた映画です。
氷河期を生き延び、人類は列車の中で暮らしています。
その列車の中は超格差社会です。
作品中の支配階級の人たちが繰り返して言います。
人間1人1人には「役割」があるということを。
靴は靴の役割があり、決して靴が頭の上に乗ることはないように、底辺の人間は底辺の人間らしくしろと。
格差があり支配階級が人口のバランスをコントロール(定期的に殺害)してるからこそ、人類は絶滅せずにいるのだという支配者の言葉に主人公は葛藤します。
我が国のブラック企業問題やいじめ問題を思い出します。
外の世界に行き場はないから、イヤでも所属する組織に従うほかない、仕事を与えられてるのに文句をいうとは何事だという理屈に近いものがあります。
そして、ジョージ・オーウェルの「1984」や映画「マトリックス」の支配者の論理に通じるものがあり、戦慄を感じます。
本作品のキーパーソンになる韓国人は、外への脱出を計ります。
主人公には、外の世界があるという発想などまったく無く、主人公からすれば韓国人はドラックで頭がおかしくなってるのではないかという始末。
まるで、会社しか世界を知らない会社人間が、若い人に会社を辞めてどうするんだと諭すかのような限られた思考。
中にいて革命を起こすのか。
しかし、中にいても支配者が変わるだけに過ぎないだけ。
それとも、外の世界に居場所を求めるのか。
主人公はその葛藤に悩みます。
そして、どちらが正しかったのかは、
印象的なラストシーンが、
その答えを教えてくれます。
おっと、これ以上は、劇場で。
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