リバース・イノベーション
公開日:
:
最終更新日:2019/02/14
イノベーション, 本 リバース・イノベーション
先日カンボジアに旅行に行った際、
アンコールワットのあるシェムリアップと首都プノンペンの間の超ど田舎のローカルな食堂で昼飯を食べたのですが、
普通にフリーWi-Fiが完備されていたことに、ビックリしました。
ここだけじゃなく、たまたまかもしれないけど、カンボジアでは、どのお店に行ってもフリーWi-Fiがつながりました。
トイレは水洗じゃないところばかりのに。
道路は舗装されてないところばかりなのに。
鉄道とか公共交通機関はないのに。
フリーWi-Fiは整備されてました。
日本では、フリーWi-Fiスポットを探すのに苦労します。
ていうか、そもそも3Gが発達してるので、Wi-Fiの必要性があまりありません。
これだけでは判断できないかもしれませんが、
カンボジアはインフラは脆弱だけど、Wi-Fi環境は日本より充実しているという印象を持ちました。
そして、カンボジアは、イノベーションが生まれる大きな可能性を秘めているなあと思いました。
なぜか?
そのキーワードは
「リバース・イノベーション」
にあります。
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これは、イノベーションは途上国から生まれるという内容の本です。
今までは、先進国の企業は、先進国で生まれた製品を、ただそのまま持ち込んだり、途上国用に機能を落とし低価格で展開していましたが、
もはや、そういうやり方では売れません。
逆に、途上国の人たちのニーズを発掘して開発した製品が、先進国へ流れているという現象が起きています。
イノベーションは途上国で生まれ、それが先進国へ逆流する
「リバース・イノベーション」
という現象が起きています。
ソニーは中国や東南アジアで、型落ちの製品を販売した結果、サムスンに追い抜かれました。
サムソンは徹底して現地の人たちのニーズをうまく製品に取り入れ、アジアでのプレゼンスをあげました。
インドの地方に住む貧困者は、安い白黒テレビを買うために列をなして待ったりしません。
先進国よりも安い金額で最先端の製品を求めています。
日本人の、途上国は遅れてるという上から目線の傲慢さが、我が国の電機産業の停滞を招いています。
実際に、私は東南アジアに旅行にいって、日本の電化製品を見たことがありません。
サムソンとかLGばかりです。
ところで、私が冒頭でカンボジアはイノベーションが起きる大きな可能性があるなあと思った理由を
本書から抜粋しますと、
富裕国が革新的なインフラ技術を採用して新しいシステムをつくろうとすると、既存システムと互換性を持たせなくてはならない。
富裕国は数十年前に行った選択によって制約を受けるのだ。
これに対して途上国は、そうした過去の遺産に邪魔されることなく、画期的な技術へと一足飛びに進展する柔軟性がある。
その結果、多くの途上国では、インフラはおしなべてひどくお粗末だが、整備されている場所だけは往々にして最先端を行っているという、どうにも奇妙な状況が生じることになる。
ということなんですね。
遠隔治療
eラーニング
モバイルバンキング
マイクロクレジット
こういった分野は、途上国のほうが発達しており、
製品やサービスは途上国から先進国へ流れています。
これからは革新的なイノベーションは途上国から生まれると言われています。
途上国は、先行した富裕国と同じ道筋をたどるわけではありません。
よく、◯◯という国は、日本の高度成長期とか「3丁目の夕日」の時代にあたるだなんて例えるケースがありますが、
途上国は、先進国にキャッチアップしようだなんて単純なゲームなどしていません。
そんなものとはまったくかけ離れています。
さきほどの例のように、
インフラは脆弱だからこそ、先進国にはない独自のイノベーションが生まれます。
病院が無いので、遠隔治療や持ち運びできるコンパクトな医療機器が。。。、
銀行が無いので、モバイルバンキング、マイクロクレジットが。。。
学校が無いので、eラーニングが。。。
「3丁目の夕日」だなんて見下していると大変なことになります。
分野によっては、我々の先を行ってますし、
過去のしがらみが無い分、一気に飛び越える可能性も持っています。
だから、私たちは、今までのやり方、常識を捨てさり、新しいゲームを始めなければいけないのです。
では、具体的にどうしたらいいのでしょうか?
本書の後半で、そのことがたっぷりと述べられてますので、詳しくは、本書を読みましょう。
目からウロコの事象が満載です。
さわりをいいますと、
今後20〜30年のうちに、途上国で市場リーダーになることが、先進国で力を維持し続けていくための必要条件です。
そのためには、途上国に重点を移さなければいけません。
重心とは、つまり、人材、権限、資金、注意を、成長している場所に移すことです。
もはや、世界の重心は途上国にあることに気づかなければいけません。
そして、
顧客に対する深い洞察が必要。
完璧さよりもスピードを優先すること。
小さな修正を重ねて事業を強化すること。
など、本書には重要なアドバイスが満載です。
ガラパゴス諸島にいると、
世界で何が起こっているのか、
気がつかなくなります。
世界の中心が変わっていることに早く気づき対応しなければ、
いつの間にか我々はガラパゴス諸島のゾウガメのように絶滅危惧種になってしまうことでしょう。
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