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モバイルクラウド

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イギリスの産業革命のときは、誰もこれが産業革命だなんて気づかなかった。
まるで毎日会ってる人が、太っても気づかないように。
意外に思うかもしれないが、その時代を生きる人間、当事者にとって、今そこにある変化を感じるとることは難しい。
今私たちの周りで進行しているモバイルクラウド革命もそう。
我々の多くは変化に気づいていない。
凄い革命が進行中なのに気づいていない。
ここいらで、ちょっと手を止めて、本を読んで確認しよう。
モバイルクラウドに関連する事柄を幅広く網羅した本書を読んで、頭を整理してみよう。
私のようなITとは無縁の普通のサラリーマンにとっても、分かりやすく書かれており、今の時代を知ることができると思う。
「モバイルクラウド」


私は、iPhoneが登場したときに、
単にiPodに電話がついただけだと思ってた。
今考えるとバカなことに、
「iPod持ってるし、携帯電話持ってるから、必要ない」と思ってた。
私は、iPodまたは電話の延長線上という思考しか及ばなかった。

ヘンリー・フォードの超有名な言葉にこういうのがある。
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう」
馬車の延長線上では、自動車という発想は絶対でてこない。
電話の延長線上では、iPhoneという発想は絶対でてこない。
ナシム・ニコラス・タレブがかつて『ブラック・スワン』で述べたように、
物事は枠の外で考えることが重要なのだ。
破壊的イノベーションは、意外なところからやってくる。
常識にとらわれてはブラック・スワンに飲み込まれるだけだ。
その点を考えると、iPhone登場当時から、Appleがクラウドを見据えていたという著者の慧眼に驚く。

本書には幅広いトピックが網羅されている。
その中から私個人的に一番興味深かったトピックについてひとこと。
最近、ノマドという言葉がもてはやされているが、モバイルクラウドの進展のおかげで、そういったワークスタイルが可能になってきた。
私たちの仕事、ライフスタイルが大きく変化することは間違いない。
会社の自分の机に座って仕事する必要がなくなるだろうし、そもそも会社に出社する必要がなくなるだろう。
それには、BYOD(Bring Your Own Device:私物解禁)を認めることが必要だ。
iPhoneユーザーのほとんどは、プライベートではスゴく便利なツールを使っているのに、勤務先のデバイスやシステムの方がとても不便ですごくイライラしていると思う。
プライベートでは、Gmail、Evernote、Dropboxといった世界的に普及している超便利なツールを使ってるのに、会社では使い勝手の悪いシステムを使わざるをえないという状況に。
会社でもプライベートと同じように Gmail、Evernote、Dropboxを使いたいし、書類は全てクラウドに保存したい。
企業が本当にクラウドを有効に活用するには、企業がデバイスを社員に提供するのではなく、個人のデバイスの使用を解禁する必要があるという箇所をとても興味深く読んだ。
 

さあ、
食わず嫌いはやめて、モバイルクラウドに頭を突っ込もう。
とりあえずは、ガラケーを捨てて、iPhoneを買おう。
少しずつではあるが、自分のまわりの世界は絶対に変わる。
普通のリーマンの私でさえ、もはやiPhoneのない世界には戻れないし、クラウドのない世界には戻れない。

しかし、とても便利でバラ色の未来が待っているであろうモバイルクラウドであるが、
それが一体われわれに何をもたらすのか?
便利過ぎるがゆえに、人間の思考能力を奪ってしまうのではないか?
自問してみる。
交通事故があるから、自動車に反対するのか?
飛行機事故があるから、飛行機に乗らないのか?
いや、違う。
著者のいうように、
主体性を持って使うことが何よりも重要であるのだ。

かつて本が登場したときも同じような議論があった。
本というものは人間から記憶力や思考能力を奪うのではないかと。
古代ギリシャの偉大な哲学者ソクラテスでさえ、そう主張していた。
しかし、実際は、本のおかげで人間の文明は飛躍的に発展した。
人類の叡智が場所、時間を超え、蓄積し、後世に残すことができるからだ。
同じように、モバイルクラウドの進展により、どうでもいいことを覚える必要はなくなり、
その分、人間はより深い思考を持てるようになるのではないかと個人的に思う。
あくまでも著者のいうように主体的に使うことが条件だけど。

さあ、もう後戻りはできない。
モバイルクラウドの世界にようこそ。
大前研一風にいうと、
新大陸にようこそ。

もはや、クラウドときいて、真木蔵人などと冗談を言ってる場合ではないことは確かだ。
(すいません。最後にどうしてもこのダジャレだけは言いたかったもので。。。。orz)


 

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